分かち合ったガイドブック
もう、18年以上前の話になりますが、学生時代の春休み、彼氏とヨーロッパ旅行へ行きました。彼氏にとっては卒業旅行、私にとっては卒論準備の旅行でした。国内の移動も含めての旅費も、食費も見学にかかる費用もすべて合わせて25万円。ものすごく貧乏な旅行でしたが、印象深い旅行でした。
卒業後、某銀行に就職が決まっている彼氏はこの先いつ長い休みが取れるか分かりません。私自身にとっては、卒業論文で扱いたいクリムトとシーレの生の作品を見る貴重な機会です。それに、学生の私たちにとって、20万円を超えるお金はものすごい大金でした。下調べはものすごく熱心に行いました。申し込んだのは南回りの最初の一泊だけついているフリープラン。南回りは思ったより大変でしたが、当時テロ対策で武装兵がいるバーレーンに降りられたのはある意味収穫でした。怖かったですが・・・
パリ、ミュンヘン、ウィーン、チューリッヒの順番で2週間。時間とお金の倹約のため、移動は夜行の簡易寝台を使いました。カーテンもなしでベッドに寝るのには少し抵抗がありましたが、意外なことに身なりのよい現地の大人の利用者も多く、文化の違いを感じました。
ホテルはツアーについていた最初の1泊は三ツ星。後は星なしや、せいぜい一つ星のホテルを利用しました。パリで泊まった星なしホテルはフロントで言われた料金と部屋に張り出してある料金が異なったので尋ねてみると、悪びれずに差額を返してくれました。びっくり!そのホテルは夜中にいきなりシャワーが出てきたりいろいろ楽しい体験ができました。一番とんでもないホテルが一番思い出深く、また行ったらとまりにいきたいとさえ思ってしまうのですから不思議なものです。
観光は美術館が中心でした。が・・・ルーブルが改装中では入れなかったのは大ショックでした。まさかルーブルが閉まっているとは予想もしていなかったのでぜんぜん調べていなかったのでした・・・とほほ。しかし、その分オルセー、オランジュリー、モロー美術館、ベルサイユ宮殿を堪能しました。2泊の予定だったパリに結局4泊してしまったので、ルーブルが開いていたら他の都市は回らなかったかもしれません。
旅行中「ヤパーニッシュ」と、ミュンヘン、ウィーンではいやな目で見られたこともありました。これは仕方がないのでしょうね・・・しかし、地図を広げているとすぐに道案内してくれようとする人が現れ、友好的に接してくれた人のほうが多かったのは嬉しいことでした。パリが一番外交人であることを感じさせないでくれました。道を尋ねられたときには驚きました・・・どうみてもパリの住人には見えなかったはずなんですが???
食事はレストランでもいただきましたが、現地のスーパーなどでお惣菜、パン、チーズ、ハム、名まで食べられる野菜や果物を買ってホテルで食べることのほうが多かったです。それが楽しくて・・・レストランの食事はヘビーすぎることが多かったのと、倹約のためですが、スーパーマーケットの清算の仕方が日本と違ったり・・・現地の人の買い物の様子を見たり・・・
(その後、日本でも時間があると旅先のスーパーを覗いてみるようになってしまいました。観光用でないところがものすごく興味ひかれるのです。)
彼が大学の寮を引き払うときに、旅行で使ったガイドブックなどを半分ずつ分けて、「またこれを合わせる日が早く来ると良いね」と言い合いました。残念ながら数年後、一緒に旅行した彼氏とは価値観の違いなどで別れてしまい、分けたガイドブックがまた一つになる機会は失われてしまいました。それでも、楽しい思い出を作ってくれた彼氏には今でもすごく感謝しています。
ところで、ただ同然で海外旅行に行ける方法があるとしたら、あなたは知りたくないですか?